
体力的にきつい、常に多忙で大変だ。「介護の仕事」と聞くと、そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、それは介護の仕事について、知らないことが多いからではないでしょうか。「Pride」では、実際に現場で働く方々に話をお聞きし、介護の仕事について語っていただきます。介護の仕事に誇りを持ち、日々奮闘する中で育まれる利用者さんとの絆や、使命感。介護従事者たちの熱い想いをお伝えします。
今回紹介するのは、古川亜樹(ふるかわあき)さん。株式会社ライフ・テクノサービスが運営する名張市の高齢者住宅 ・ 特定施設「憩いの里鴻之台ケアホーム(以下、鴻之台ケアホーム)」で、介護職員として活躍しています。
初めは子育てをしながらパートとして働いていましたが、介護リーダーに抜擢され、現在は現場をまとめる役割を担っています。鴻之台ケアホームに勤めて6年目、前職と合わせるとおよそ11年もの間、介護の現場に立ち続けてきた古川さん。どのような想いで、利用者やスタッフと向き合っているのでしょうか。

祖母の言葉に背中を押されて
古川さんが介護職を目指したきっかけは、「曾祖母の介護をしたい」という思いからでした。
「福祉科がある高校を選び、介護職に就こうと心に決めました。でも、高校に通っている間に曾祖母は亡くなってしまって…目標がなくなってしまい、卒業後はアルバイトをしていたんですが、今度は祖母のために介護に携わりたいと思うようになりました」

古川さんの想いを知り、祖母から返ってきたのは「私は大丈夫だから、必要な人のために頑張って」という言葉。ちょうどその頃、福祉の道に進んでいた友人から声をかけられたこともあり、古川さんはデイサービスで働くことを選びました。
働き始めた当初は、認知症の方とのコミュニケーションが難しく感じることもあり、悩むこともあったそう。
「最初はその方が何をしたいのか、何を伝えたいのか汲み取るのが本当に難しかった。ですから自分から積極的に関わりを持つようにして、少しづつコミュニケーションを重ねていきました。変化を見逃さないように一人ひとりを注意深く見ることで、サインに気づくことができるようになったんだと思います」
不慣れなことも多く、精一杯の毎日。ですが、それ以上にやりがいを感じていたと古川さんは言います。
「介護を通して、知識や技術だけでなく『誰かの役に立てている』という実感を持つことができたし、人と関わる楽しさ、大切さを経験することができました」
介護職リーダーの役割
最初に入職したデイサービスに5年ほど勤めたあと、結婚、出産を機に退職。再び仕事に就こうと考えた時、やはり介護の仕事が頭に浮かんだと言います。そして数ある介護施設の中で、選んだのはライフ・テクノサービスが運営する鴻之台ケアホーム。
「鴻之台ケアホームのブログを見たら、利用者さんたちがすごく楽しそうだったんです。今にも笑い声が聞こえてきそうな笑顔の写真がたくさんあって、こういう環境で一緒に仕事ができたらなって思って、今の仕事を選びました」

最初はパート勤務として入社しましたが、4年ほど経った頃、介護リーダーに抜擢されることに。
「私が入社したときは当時の施設長がリーダーだったんですが、『利用者さんのケアをもっと向上していくために、リーダーを任せたい』とお声がけをいただいたので、少しでも力になれるなら挑戦してみようと思って引き受けることにしました」
現在、古川さんが行っているリーダーの主な仕事は、朝礼や勤務交代時の申し送りでのまとめ役を務めることに加え、介護員の代表として、他部署との会議、他施設との介護員会議に参加。施設内のワーカー(介護職)会議へ出席し、他職種との連携を図って利用者への支援内容の検討や見直し、職員の教育と指導などを担っています。

さらに、新任者研修もリーダーの役割です。新任者研修は、外国人人材である特定技能生と技能実習生、新入社員を対象に行っています。以前の指導者から役割を引き継ぎ、介護福祉士・機能訓練指導員とともに研修内容を一から考えて講習を組み立てました。
「特に、新人や外国人実習生に福祉の仕事を伝える際は、基本的なマナーやモラルを大切にし、現場で活かせる内容を分かりやすく伝えることを心がけています。外国の方にとっては日本語が難しい場合もあるため、簡単な言葉で簡潔に伝えるようにして、なるべく質問がしやすい雰囲気をつくるようにしています」
研修では技術面だけではなく、コミュニケーションの大切さも伝えています。
「まずは『自分の存在を相手に知ってもらう、そして自分も相手を知ろうとしてほしい』と話しています。なぜなら、理解しようとする姿勢が相手の緊張をほどき、そこからコミュニケーションが生まれるからです」

「外国人実習生の中には、積極的に利用者さんや職員と関わり、チームの一員として支え合う姿勢を持っている方もいます。実習生からスタートして、今では指導役として活躍してくれているんですよ。介護職は、自分の存在が価値になる仕事。その想いを大切にしてほしいですね」
チームの質を高める取り組み
リーダーとして、まだまだ課題はあると感じつつも、「職員全員が同じ方向を向き、利用者一人ひとりが満足できる生活を支えること」を目指して取り組んでいるという古川さん。
「利用者さんと接するのと同じように、職員にも積極的にコミュニケーションを取るようにしています。仕事を見守りながら、悩んでいそうな時は声をかけたり。チームの輪をつくることは簡単ではありませんが、日々の中で信頼関係を築くようにしてます」
些細な情報共有を欠かさないことも、チームの輪をつくるためには大切な要素。朝勤と夜勤の引き継ぎでは、利用者の体調、言動、衣服の状態など気になる部分は細かく聞き取ってチームに共有し、適切なケアに挑んでいます。

この積み重ねが成果を生み、チームワークの強さを実感したのがコロナの感染拡大時でした。最小限の感染に抑えられたのは、全員が感染予防の重要性を理解し、協力し合ったからこそ。こうした経験を通じて、連携の大切さを改めて実感しました。
「単にこうしてはいけないと伝えるのではなく、理由や根拠をしっかりと理解し、納得してケアに当たってもらう。それぞれが納得できる形で理解を深めることが重要だと思っています」

リーダーとして、介護職員として毎日忙しく過ごす古川さんの姿は、職員だけでなく、家族にも影響を与えているようです。
「子どもがたまに施設のレクレーションに参加するのですが、『将来はママと働きたい』と言ってくれるんです。子どもなりに介護の仕事の大切さを感じてくれているのかな。大きくなっても、そう言ってくれたら嬉しいですね」
「仕事を通して生きる意味を感じる」
リーダーとして、そして介護職員として日々奮闘する古川さん。介護職として11年以上の経験を持つ彼女に、この仕事を続ける理由を尋ねると、「自分の存在が価値になると実感できる瞬間があるから」と話してくれました。
「利用者さんと顔を合わせると『声を聞くと元気が出るわ』『1日1回顔見せてくれやな』といった言葉をもらって幸せな気持ちになり、この仕事を続けてきてよかったと思えます。生活をお手伝いさせてもらう中で一緒に笑ったり泣いたりしながら、利用者さんと築いてきた信頼関係が私にとって宝物です」

一方で看取りの場面など、寂しさやつらさを感じる別れもあります。
「『自分のときも頼むわな』という言葉をかけられることもあって。信頼を寄せてもらえるありがたさで、胸が熱くなります。だからこそ、利用者さんがどのような最期を望まれているのか、職員全員で共通認識を持ち、精一杯関わらせていただく。こうした機会を通じて生きる意味、素晴らしさをたくさん考えさせて頂いています」

介護の仕事は、一生のお付き合い。だからこそ利用者の方々には、単に本人が望む生活を送るだけでなく、生活の質まで見据えたケアを提供し、その人らしい生き方を支えていきたいと古川さん。
「高校時代に福祉科の先生から『福も祉も、どちらも幸せを意味する漢字なんだよ』と教わりました。私たちはケアを通して、命と向き合い、人生に寄り添わせていただいてる。先生の言葉を思い出しながら、人と関わる仕事ができている幸せを感じています」

介護は、単なる日常の支援ではなく、一人ひとりの人生や想いに寄り添う仕事。だからこそ、多様な人が関わることで、介護の幅はより広がっていくと古川さんは考えています。
「介護職はどんな人でも合う仕事だと思うんです。利用者さんもそれぞれなので、話好きの人、聞くのが得意な人など、自分の個性を活かして関われる仕事だと思います。未経験や無資格から始めた職員も多いので、心配せずに一歩踏み出してもらえたら嬉しいです」
介護の仕事は、人と深く関わることで得られる特別な喜びや、やりがいがあるだけでなく、自分自身の成長を実感することができる仕事でもあります。少しでも興味を持たれた方は、ぜひ見学にいらしてくださいね。


古川亜樹さん
株式会社ライフ・テクノサービス
施設事業部 憩いの里鴻之台ケアホーム
株式会社ライフ・テクノサービスでは、新卒・中途ともに積極的に採用活動を行っています。
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totutotu編集長。三重県津市(山の方)出身のフリーライター。18歳で三重を飛び出し、名古屋で12年美容師として働く。さらに新しい可能性を探して関西へ移住。現在は京都と三重の二地域暮らし。様々な土地に住んだことで、昔は当たり前に感じていた三重の美しい自然豊かな景色をいとおしく感じるように。今の私にとってかけがえのない癒し。