
体力的にきつい、多忙で大変だ。「介護の仕事」と聞くと、そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、それは介護の仕事について、知らないことが多いからではないでしょうか。「Pride」シリーズでは、福祉業界で働く方々にフォーカスし、介護の仕事に誇りを持ち働く人たちの熱い想いをお伝えします。。
今回ご紹介するのは、株式会社ライフ・テクノサービス(LTS)津営業所で働く紀平敬大(けいた)さん。コロナ禍で大学を卒業し、就職。専攻していた語学分野ではなく、これまでほとんど接点のなかった福祉業界で営業職(福祉用具専門相談員)になるという選択をしました。将来の見通しが立ちにくかった状況下で、なぜ福祉業界を選んだのでしょうか。

コロナ禍で決めた福祉への道
大学では英語を専攻していた紀平さん。コロナ禍になる前に留学も経験し、言語を活かした仕事も視野に入れていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で状況が一変。仕事の選択肢が狭まり、将来の方向が見えにくくなっていったそうです。そんな中で、紀平さんが選んだのは「福祉業界」という道。
「人と話すのが得意だったので営業職に就こうと考えていたのですが、当時は倒産する会社も多く、先行きが見えない状況でした。そこで、絶対になくならない仕事は何かを考え、今後も需要があり、人の役に立てる福祉業界を選びました」
地元三重県で活躍したいという思いもあり、2022年にライフ・テクノサービスに入社。福祉用具専門相談員として、津営業所に配属になりました。

日常が少しでも快適になるように
紀平さんの主な仕事は、在宅の利用者を中心に福祉用具の提案、提供を行うこと。担当するケアマネジャーとともに利用者の家に伺い、生活環境を確認。体調や生活の困りごとなどについてヒアリングを行い、その人に合わせた福祉用具を提案します。
営業職ではありますが、アポイントなしのセールスや厳しい販売目標は設定されておらず、利用者一人ひとりに適した福祉用具を提案することが重要な仕事です。
「入社した当初は、大量にある福祉用具を覚えるのに苦労しました。ケアマネジャーや利用者さんから製品について質問を受けるのですが、すばやく受け答えできなくて焦ってばかりでしたね」

適切な用具を提案するには、正確な製品知識、そして観察眼が欠かせません。
「福祉用具を提案するためには、高齢者の方がどのように生活しているか、どんな困りごとがあるのか気づく視野の広さが大切です。例えば手すりを設置する際は、立ち上がったとき、座るときなど日常の動作を行ってもらいながら調整します。レンタル用品なら実際に使ってもらい、確認していただくようにしています。家の中にはちょっとした段差などがあり、使ってみないとわからないことも多いんですよ」
利用者の日々が少しでも快適になることを最優先に考え、たとえ要望があったとしても、必要のないものは勧めないようにしているそうです。

「言われたものをただ運ぶだけなら誰にでもできる仕事。だからこそ『紀平さんじゃないと』と思ってもらえるように意識をしています。基本的なことですが時間を守る、報告を丁寧にする。提案するだけでなく、設置工事や点検などにも立ち会い、利用者さんにもケアマネさんにも欠かさず情報共有するようにしています」
訪問を重ねることによって信頼を築き、今では「孫のよう」と紀平さんが訪れることを楽しみにしている利用者の方もいるそうです。

「やっぱり『ありがとう』と言っていただけるのは、一番のやりがいですね。信頼関係が築けているという実感にもなりますし、提案した用具のおかげで『生活が楽になった』という言葉をいただくと、この仕事に就いてよかったなと思います」

これまでの仕事の中で紀平さんが特に印象に残っているのは、ある終末期の利用者の方からの依頼でした。
「自分の余命がわかり、最期は三重にある家で自然の景色を見ながらゆっくり過ごしたいという希望をいただきました。お話をいただいてからすぐに必要な用具を手配し、できるだけ早く納品させていただきました」
紀平さんは、どうすれば負担を減らせるか、暮らしやすいかを考えて福祉用具を提案し、その際の言葉遣いや表情にも細心の注意を払いました。
「私たちのサービスを通じて『最期は家で過ごしたい』という願いを叶えるお手伝いができたことを嬉しく思っています。何よりも『ありがとう』と感謝の言葉をいただいた瞬間は、胸が熱くなりましたね」

自己成長につながる仕事
津営業所の営業職(福祉用具専門相談員)には、紀平さんを含め5名が在籍しています。
年の近いメンバーも多く、職場には話しやすい雰囲気があります。ちょっとした疑問もすぐに相談でき、自分の経験や悩みも自然と共有し合える環境です。今年で入社4年目になり、先輩として指導する立場にもなりました。
「後輩にはまず、挨拶をしっかりするように伝えています。基本的なことですが、利用者さんのお宅にお邪魔することが多いので、マナーはとても大事。お家はその人のプライベートな空間だという意識を忘れず、気を配るようにと伝えています」

今年4月からはリーダーに就任。これまで培ってきた経験をチームのみんなと共有し、営業所全体の底上げに貢献したいと意気込みます。

福祉用具専門相談員として、そして今後はチームをまとめるリーダーとして活躍を続ける紀平さん。改めてこれまでの経験を振り返り、「この仕事を通じて、人として大切なことに気づけた」と話します。
「例えば、耳が聞こえにくい方には、より丁寧に話し、伝わっているか確認するよう心がけるようになりました。こうした配慮はもちろんのこと、人の生き方や暮らし方について考える機会も増えました。高齢者の方々と接するなかで、自分の視野が広がったと感じています」
歳を重ねても、自分らしく暮らしたい。これまでと変わらない生活を送りたい──。
そんな願いに寄り添い、サポートを行う福祉用具専門相談員の仕事。人を思いやる心が自然と育まれ、その積み重ねが、やがて自分自身の成長にもつながっていく。紀平さんは、そんな実感を日々の中で得ているようです。

紀平敬大 さん
株式会社ライフ・テクノサービスレンタル事業部
アシスティブプロダクツ課 津営業所
株式会社ライフ・テクノサービスでは、新卒・中途ともに積極的に採用活動を行っています。
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totutotu編集長。三重県津市(山の方)出身のフリーライター。18歳で三重を飛び出し、名古屋で12年美容師として働く。さらに新しい可能性を探して関西へ移住。現在は京都と三重の二地域暮らし。様々な土地に住んだことで、昔は当たり前に感じていた三重の美しい自然豊かな景色をいとおしく感じるように。今の私にとってかけがえのない癒し。