毎年正月になると、母方の祖母の家に親戚一同集まって大宴会をしていた。その中に親戚ではないけれど、祖母の古い友人?みたいなおばあさんも混じっていて、当時小学校低学年だった私は「誰かな?この人」って思いながら一緒に正月を過ごしていた時を思い出す。

その人は毎年正月に来るわけではないけれど、数年に1度には祖母の家に現れては必ずくれるものがある。それは「からからせんべい」である。

三角に折りたたまれたせんべいの中に、紙包みが入ってて、そこに毬や鈴、それから紙風船など色んなおもちゃが出てくるお菓子だった。「なんだ、お年玉じゃないのか・・・」と思っていた当時の私だったが、何だかこの贈り物に妙に愛着がわき、せんべいの中にどんなおもちゃが入っているのか?空けてみるのがすごく楽しくて、「次、何が出るんやろうね」ってニコニコ笑うおばあさんと時間を忘れるぐらい夢中になって遊んでいた。

それからその人が正月に来るたびにからからせんべいをもらう事が楽しみになり、「今年はあのおばあさん来てくれるかな?」なんてサンタさんを待っている子供の様にワクワクしていたぐらい。

しかし私が中学に上がる頃には、その人は体調を崩して家から出れない状態だった為に、今日まで会う事が無くなってしまった。それからたまに祖母の家に行くと、「からからせんべい」が置いてあり、それを見るたびに無邪気におばあさんと遊んでた自分を思い出し、ちょっぴりせつない気持ちにもなった。