自然豊かな赤目地区

小さい時から赤目地区で生まれ育って、もう60年です。ずっとこの地におります。子どもの頃は夏になると、よく近くの川で泳いだりしてました。

6月ぐらいになりますと蛍も飛んできますし、本当にきれいな水、自然が残されています。特に赤目四十八滝がありますので、観光で来られた方も、自然の豊かさを経験して楽しんでいただける土地だと思います。

瀧自慢酒造では、赤目四十八滝からの伏流水を汲み上げて使用している。

機械メーカー勤めから歴史ある酒蔵の杜氏へ

この蔵は、明治初年頃に酒造りを始めたと言われています。少しずつ建て増しして、だんだん大きくしていっているような形ですね。

名張市とか今の伊賀市、この上野盆地内で、平成元年ぐらいには他にも酒蔵が18場(じょう)ありました。それが今は名張で4場、(伊賀市)上野でも4場ぐらいかな。だから半分ぐらいになってますね。

私で4代目になりますが、もともと機械メーカーにいて、酒造りの修行はしてないんですよね。家業を継がなあかんようになったんで、東京の北区にあった醸造試験場で1年間、酒関係の勉強をしてから戻ってきたんです。

最初戻ってきた時は、うちで35年ぐらい勤めてくれていた但馬杜氏※1さんが、もう70過ぎてたので引退すると。それで、先代と私とでお願いして、新たに岩手県の南部杜氏※2さんに来てもらって。でも、その人も初めての杜氏やったので、仕事の責任とかプレッシャーで気苦労されてお酒に走ってしまった。

※1 兵庫県北部を拠点とした日本3大杜氏の1つ
※2 日本で最大規模を誇る日本3大杜氏の1つ

腎臓を痛めて仕事ができなくなるぐらいになった時に、ちょうど酒造りをやめることになった四国の酒蔵に行ってられた杜氏さんが来て、前におってくれた但馬杜氏さんも「そういうことやったら、ちょっと手伝いに行きましょう」ということで来てくれて……というのがこの仕事を始めて2年目の時ですかね。

毎年違うからこその緊張感を楽しむ

若くてキャリアがそんなにないけど、なんとか乗り切って。その時に初めて、うちの酒が全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会に通ったんです。だからまあ、ちょうどラッキーだったんですけどね。

お酒造りをもう何十年とやってますけれども、お米の出来にしても毎年変わりますし、お酒を造っている冬の気候も毎年変わります。ですので、本当に「毎年1年生」という気持ちで酒造りを行っております。そういった面では、毎回緊張感がありつつも楽しく仕事をしております。

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