体力的にきつい、常に多忙で大変だ。「介護の仕事」と聞くと、そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、それは介護の仕事について、知らないことが多いからではないでしょうか。「Pride」では、実際に現場で働く方々に話をお聞きし、介護の仕事について語っていただきます。介護の仕事に誇りを持ち、日々奮闘する中で育まれる利用者さんとの絆や、使命感。介護従事者たちの熱い想いをお伝えします。

介護職は「家族のように見守る仕事でもあると思うんです」と話すのは、特別養護老人ホーム津の街で働くアルザガ仁美さん。生活の介助だけでなく、春は桜を楽しみ、冬はクリスマスの飾り付けをしたり。家族のように接することで、あうんの呼吸で介護ができるようになっていったと言います。介護は「してあげるもの」というイメージを取り払って、アルザガさんの言葉に耳を傾ければ、介護の印象が変わるかもしれません。

車椅子体験を通じて

看護師の従姉妹に憧れて、物心ついたときから看護師を目指していたというアルザガさん。その夢を持ち続けて専門学校に進学したものの、自分には合わないのではと感じて断念。しかし、誰かの助けになるような仕事に就きたいと介護の道を選択しました。

「看護職は専門的な知識や瞬発力が求められ、病気や怪我の治療をする一時を看る仕事です。介護ももちろん知識は必要ですが、食事や入浴の介助など日常生活を支え、人生の長い時間を一緒に過ごせる仕事なんだと思い、興味を持ちました」

介護士として、特別養護老人ホーム・津の街に就職。初日は、車椅子の体験から始まりました。

「車椅子に座って、入居者さんの過ごしている目線で生活してくださいと言われました。車椅子に座り続けることって、思った以上に退屈でしんどいんですよ。しかも出勤初日で緊張するし、素早く動かせないから焦るし。いきなり車椅子の生活になると、こんな気持ちになるんだと身をもって実感しました」

研修が始まると、まずは先輩に付いて10人(1ユニット)の入居者さんを担当することに。

「起床時間や食事の方法など一人ひとり生活習慣が違うので、それぞれに合わせた介助方法を覚えることから始まりました。お薬を飲むタイミングなど生活習慣はすぐに覚えられたのですが、こういう感情だからこんな行動をとるなどパーソナルな部分を把握するのにすごく時間がかかりました。信用してもらえてないとコミュニケーションがとれないし、コミュニケーションがとれないとその人が本当にどうしたいのか知ることができないんです」

耳が聴こえづらい方には、筆談で話をすることも

少しでも楽しい時間が過ごせるように

入居者さんの中には、話すのが苦手な人も、人見知りの人もいます。そこでアルザガさんは、じっくりとその人の行動を見て、話しかけるポイントを見つけるようになったと言います。

「最初はどういうことに興味があるかわからなくて、家に帰りたいとか寂しいとかそういう会話になりがちだったんです。そう言われてしまうと、何と言ってあげたらいいのかわからなくて…。だから入居者さん同士や先輩方と話している様子を見て、その人が笑顔になるポイントを見つけるようにしました。テレビの話題とか好きな俳優さんをきっかけにお話しすると、パッと顔が明るくなるんです」

こうした会話の積み重ねで、入居者さんも心を開いてくれるようになったそう。

「最近入居したばかりの方が2人いるんですが、花が好きと聞いたので一緒に植物を買いに行きました。植物のお世話をすることが生活の楽しみになるかもしれないし、この機会を通じてお2人が仲良くなっていただけたらいいなと思ったんです」

気分転換になるようにと散歩をしたり、施設の1階にある保育園で子どもたちと一緒に過ごすことも。

「すごく気持ちが落ち込んでしまって、話を聞いてもなかなか気持ちが晴れないときには、外に出て施設の周りを散歩したり、保育園の先生と相談して子どもたちと触れ合う時間を設けています。膝にちょこんと子どもが座るだけで、とっても嬉しそうなお顔になるんですよ」

保育園の先生とアルザガさん
散歩しながら、若いときの思い出話をたくさん話してくれるそう

あうんの呼吸で行う介護

こうしたコミュニケーションの積み重ねによって、介助にも良い影響があったと言います。

「最初の頃は車椅子から持ち上げるのもコツが掴めなくて、相手にも自分にも負荷がかかって大変でしたが、リラックスして接することができるようになってきた頃から、入居者さんがどう動きたいのかがわかるようになってきて。『じゃあ、行こか』『うん』と、あうんの呼吸で介助ができるようになりました」

介助をする際は、身体の負担だけでなく、心の負担もできるだけ減らしたいとアルザガさんは言います。

「慣れない頃は、『今から持ち上げますね』と毎回声をかけていたんです。そうすると利用者さんに『いつもごめんな、ありがとう』と言わせてしまう。それは “やってあげてる” “してもらっている” 間柄になってしまうんですね。でも今は一声かけるだけで介助できるようになった。それは信頼されている証でもあるから、嬉しいことやなって思います」

あうんの呼吸でわかり合えるのも、この5年間ひたすらに入居者さんを観察し、話しかけ、その人を知ろうとコミュニケーションを重ねてきた結果。

「以前は周りの変化にもあまり気づかないタイプだったんですが、介護の仕事を始めてから人をよく観察するようになりました。家族や友人とご飯食べてても、水を飲む量が少ないんじゃないかなとか、寝不足なのかなとか気づくようになって。人を観察する目が養われてきたのかもしれないですね」

毎日新鮮な気持ちで働ける仕事

介護の仕事について5年。それでも毎日、新鮮な気持ちで働けているというアルザガさん。

「入居者さんそれぞれの生活パターンがあって、性格が違って…介護には決まっていることがないんです。大変なこともあるんですけど、毎日が違うので常に新鮮な気持ちで働けてる。私はもともと人見知りなので、入居者さんお一人ずつと接することができるこの仕事が合っているのかなと感じています」

人見知りだからこそ、新しい環境に馴染む大変さ、人とコミュニケーションをとる難しさが理解できる。きっとそんなアルザガさんだからこそ、入居者さんも信頼できるのかもしれません。

「私のことを必要としてくれて、ありがとうと感謝してくれて、落ち込んだときは励ましてくれる。家族より長い時間一緒にいるから、もしかしたら入居者さんのことを私たちが一番知っているかもしれません。みんな、私のおじいちゃんおばあちゃんのような感覚なんです」

心とからだは繋がってるもの。だからこそ日々のコミュニケーションによって負担の少ない介護が成立する。互いに支え合い、楽しんで生活を送れる介護が広がれば、きっと心地よい未来になるはずです。

アルザガ仁美さん

社会福祉法人敬峰会

施設事業部 特別養護老人ホーム津の街

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