体力的にきつい、常に多忙で大変だ。介護の仕事と聞くと、そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、それは介護の仕事について、知らないことが多いからではないでしょうか。「pride」では、実際に現場で働く方々に話をお聞きし、介護の仕事について語っていただきます。介護の仕事に誇りを持ち、日々奮闘する中で育まれる利用者さんとの絆や、使命感。介護従事者たちの熱い想いをお伝えします。
今回ご紹介するのは、平 葉月(たいら はづき)さん。株式会社ライフ・テクノサービス(LTS)が運営する高齢者住宅 ・ 特定施設「憩いの里 津ケアホーム」で働き始めて、3年目になります。平さんは、なぜ介護職を目指し、どのような想いを持って働いているのかをお聞きしました。
祖母と過ごす日々が、介護の道を目指すきっかけに
平さんが「介護の仕事に就きたい」と思ったのは、中学生のとき。職場体験として、デイサービスの介護施設を訪れました。いくつかある福祉施設の中から介護施設を選んだのは、一緒に暮らしている祖母の影響が大きかったそう。
「祖母と暮らす中で、高齢の方の手助けができる介護の仕事についてもっと知りたいと思っていたんです。実際に訪問したときも、祖母と同世代の方たちとお話ししたり、一緒に過ごす時間が楽しくて。楽な仕事ではないことはわかっていたんですが、それよりもやってみたい!という気持ちが強かったんですよね」
福祉体験で、将来は介護の仕事に就きたいという思いを固めた平さん。その夢は変わることなく、福祉系の大学に進学した後、地元大阪を離れて三重県のLTSに就職します。
「大学3回生のときに就職活動を兼ねて、全国の様々な介護施設へインターンシップに行きました。そんな中でも就職先にLTSを選んだのは、対応してくださったリーダーが、とても尊敬できる方だったからです。『自宅のようにのびのびと暮らして欲しい』という想いをもって、利用者さんのケアにあたられていて。介助について一つひとつ質問すると、丁寧に納得のできる理由を教えてくださいました」
挨拶や会話から、継続する関係性を育む
LTSで介護職の一歩目を踏み出した平さん。食事入浴、排泄などの介助を行い、利用者さんの日々の生活をサポートしています。最初の数ヶ月は、利用者さんとのコミュニケーションがうまくいかないと、悩むこともあったそう。
「入浴介助のときに、『新しい人はちょっと…』と拒まれてしまって。でもよくよく考えてみれば、皆さんからするとここは家。生活してる場に新しい人が入ってくるんですから、抵抗感があるのは当たり前なんですよね。そういうことを理解して接するのが大事なんだと気づかされました」
そこで平さんは、1日に1度、すべてのフロアの利用者さんに挨拶をするようになりました。
「名前を覚えてもらうまではいかなくても、早く聴き馴染みのある名前になって欲しくて。必ず名前を言ってからお話したり、以前話したことを覚えておくようにしました。会話のきっかけにもなるし、その場だけでなく継続できる関係性をつくっていきたいと思ったんです」
こうした平さんの努力も実り、今ではあちこちから「平さん!」と声をかけられるように。携帯の使い方を教えたり、入居者さんの誕生日会があるときは『何の服を着ようか迷ってるから一緒に決めて』とまるで実の孫のように頼られる存在になっています。
「悩まれてることとか、こうして欲しいという要望など、いろいろと教えていただける関係性になりました。仲良くなればなるほど、言いづらいことも伝えてくれるようになるので、会話の時間は特に大切にしています」
コミュニケーションの壁は乗り越えたものの、介助に関してはまだまだ難しいと感じる面もあるそうです。
「車椅子の奥に腰掛けていただきたいのにどうしても手前になってしまうとか、拘縮(関節が硬くなってしまう症状)している方の介助がスムーズにいかなかったり。そんなときは先輩や他のスタッフに客観的に自分の介助を見てもらって、アドバイスをもらいます」
実は、介助の正しいテクニックを身につければ、重たい、しんどいと感じることはほとんどないのだそう。
「ときには、自分より背の高い男性の介助もありますが、自分自身の姿勢や力の使い方などを正しく理解すれば、しんどいと感じることはあまりないんです。うまくいかない時こそ、正しい介助ができているかをチェックし、改善するようにしています」
毎日幸せな気持ちで働ける仕事
夢だった介護職について3年。この仕事に就いてよかったと思うのは、「幸せだと感じる小さな出来事が毎日あること」と満面の笑顔で答えてくれた平さん。
「ずっとやりたかった仕事ができていること自体が嬉しくて。名前を覚えてもらったときは毎日声かけに行ってよかったと思いましたし、最初は介助を拒まれた方が『あんたやから言うけどさ…』と大事な話をしてくれたり。毎日そういう嬉しいことがあるから、しんどくても明日また頑張ろうって思えるんですよね」
現在は介護福祉士の資格取得を目指し、奮闘中。資格を取得することで、「もっと自信をつけたい」「仕事の幅を広げたい」と意気込みます。
「今までは、『もうちょっと早く、うまく介助できる方法はなかったかな』ということばかり考えて、自信を持ちきれずにいました。けれど、資格を取得するために勉強したことがプラスされると、もっと根拠を持って介助に臨めたり、自信を持って後輩に指導できると思うんです」
就職したのは、コロナ禍。外出できない、アクリル板の壁ごしにしか家族と会えない。利用者さんの自由が制限され続けてきた様子を見てきたからこそ、もっと利用者さんが楽しく、自分らしく生活できるお手伝いができないか、日々考え続けていると言います。
「実際に施設で働いてみて、利用者さんの自由が少ないと感じました。コロナの前まではもう少し外出できる機会が多かったそうなので、これから少しでも制限が緩和されるといいなと思っています。そのために必要な資格を取得したり、他の施設を訪れたりしながら、どうやったら利用者さんの行動範囲が広がり、やりたいことができるようになるのか。その引き出しを増やしていきたいですね」
介助する・されるという、どちらか一方に負担がある関係性ではなく、共に支え合える関係性。共に過ごす中で一緒に喜びをわかちあえる瞬間がある。だからこそ、もっと良い介助がしたい、もっと自由に過ごせる時間を提供したいという想いが強くなる。介護の仕事は「誰かの役に立ちたい」という純粋な想いが育っていく仕事なのかもしれません。
平 葉月 さん
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totutotu編集長。三重県津市(山の方)出身のフリーライター。18歳で三重を飛び出し、名古屋で12年美容師として働く。さらに新しい可能性を探して関西へ移住。現在は京都と三重の二地域暮らし。様々な土地に住んだことで、昔は当たり前に感じていた三重の美しい自然豊かな景色をいとおしく感じるように。今の私にとってかけがえのない癒し。