
体力的にきつい、多忙で大変だ——「介護」と聞くと、そんなイメージを思い浮かべる人もいるかもしれません。しかしそれは、この分野の仕事が、まだ十分に知られていないからではないでしょうか。「Pride」シリーズでは、福祉業界の仕事にフォーカスし、この仕事に誇りを持って働く人の想いをお伝えします。
今回ご紹介するのは、株式会社ライフ・テクノサービス(LTS)鈴鹿営業所で働く「福祉用具専門相談員」のお二人。リーダーの月東祐哉(げっとう・ゆうや)さんと、入社3年目の阪本貢立(さかもと・みつはる)さんです。祖父母の介護をきっかけにこの仕事を志した月東さんと、その背中を間近で見てきた阪本さん。福祉用具専門相談員という仕事の実像や、一般的な営業職との違い、チームで働くことの意味を、対談を通じて紐解きます。

困っている人の助けになりたい
ーーまずは、「福祉用具専門相談員」として入社された経緯を教えてください。
月東:僕が入社したきっかけは、自分の祖父母が認知症だったことにあります。祖母は足が悪く、家にいる時間が長くなり、その後認知症を発症しました。祖父も同じく認知症で、徘徊していつの間にか外に出てしまうこともあり、症状はかなり深刻でした。そんな2人を家族が介護をする姿を間近で見ていて、その大変さを身に染みて感じていたんです。こうした経験から、介護で困っている人の助けになれる仕事に就きたいと思うようになったんです。
最初は介護用具メーカーで働くことも検討しましたが、もっと多角的に課題を解決できる仕事がしたいと考えました。そこでさまざまな介護用品の中から、その人の生活を手助けするものを提案できる「福祉用具専門相談員」という仕事を知り、志望しました。

阪本:僕は大学で財政学を専攻し、社会保障費の使われ方について学んでいました。当初は、財政学の観点から高齢化を数値や財政負担の問題として捉えていましたが、学習を進めるうちに、社会的に何が保障されるべきなのかという点に関心が移っていきました。そして、実際にどのような支援があり、どのような方に必要とされているのかにも目を向けるようになったんです。
また、地元には高齢の方が多く住んでいることもあり、自分にも何かできることがあるのではないかと思うようになりました。就職活動中はコロナ禍だったので、将来にわたってなくならない仕事に就きたいという思いが強くなり、福祉の分野で働くことを選びました。
ーー福祉用具専門相談員の仕事には、どんなイメージをお持ちでしたか?
阪本:福祉用具専門相談員は営業職でもあるので、はじめは積極的に商品をアプローチしなければならない仕事なのかなと思ったんです。そのため、自分に務まるだろうかと少し不安もありました。ただ、会社説明会で、利用者さんの体調や生活の困りごとを伺い、その方に合った福祉用具を提案することが主な仕事だとわかり、それなら自分にも合いそうだと思って入社を決めました。

利用者の暮らしを支える現場の対応力
ーー実際に働き始めた時、ギャップはありましたか?
阪本:思っていた以上に、イレギュラーな対応が多いなと感じました。利用者さんが高齢の方なので、「転倒してしまったから、急ぎで車椅子を用意してほしい」といった連絡が突然入ることもあります。予定していたアポイントとは別に、急きょ対応しなければならないケースが少なくないですね。
ーーとっさの対応力も求められる仕事なんですね。
月東:そうですね。鈴鹿営業所は、鈴鹿や亀山といった広いエリアを担当しているので、訪問先までの移動時間もかかります。1日のスケジュールがぎっしり詰まっている中で、イレギュラーな対応が入ることもある。そういう時にどう動くか、対応力はもちろん、日頃からのスケジュール管理も大事になってきます。
ーーそうした場合、どのように対応されているんですか?
月東:自分ひとりで対応が難しい時は、他の所員にお願いすることもあります。基本的にはそれぞれ担当の利用者さんを持っていますが、情報を共有しながら、全員で全員の利用者さんを見ていく。そういうチームとしての意識がありますね。

月東:例えば、「どの福祉用具を提案したらいいか迷っている」と相談を受けたら、その方の持病や体格、生活環境などから提案内容を一緒に考えます。場合によっては、実際に利用者さんのお宅に同行して、現場を見ながら課題を整理することもあります。
阪本:僕が担当している利用者さんのお宅に、車椅子リフトを設置することになったんですが、玄関がすごく狭かったんです。病気の影響で、少しの衝撃でも血腫ができてしまう上に、体格も大きい方で。もし転倒してしまったら、大きな事故につながりかねない状況でした。
どうすれば、安全に玄関の出入りができるのか。自分なりに考えてはみたものの、正直、持っている知識だけでは判断しきれなくて。そこで月東さんに現場に同行してもらって、一緒に寸法を確認しながら、設置できる商品の候補を絞り込んでいきました。納品後のフォローについてもアドバイスをもらえて、安心して対応できたと思います。

月東:事前にある程度の目星はつけていましたが、設置スペースが限られていたので、現場を見て確認する必要がありました。その利用者さんのことだけでなく、ご家族の方が普段の生活で困らないかどうかも含めて提案する必要がありますから。
ーー自分ひとりでは解決できないことも、チームの経験を活かして乗り越えているんですね。
月東:利用者さん一人ひとり、状況は本当に違います。正直、僕ひとりの知識だけでは足りない場面もあります。そんな時は、各営業所の福祉用具専門相談員が参加している社内チャットを活用しています。「こういうケースで困っています」と書き込むと、写真や状況を見た上でアドバイスをもらえる。会社全体でひとつのチームとして支える体制が必要なんだと思います。
ーーまさに、営業所員さんの“知恵袋”なんですね。会社全体で利用者さんを支えようとする意気込みが伝わってきます。

ひとりの成長をチーム全体で支える
ーー仕事をする中で、大変なことはありますか?
阪本:介護用のベッドを運んで、その場で組み立てることもあります。しかも利用者さんのご自宅で組み立てることが多いので、限られたスペースの中で、いかにスムーズにできるかがすごく重要で。焦ると家を傷つけてしまったり、自分が怪我をしてしまうこともあるので、当日バタバタしないように、取り扱い説明書を必ず穴があくほど見て予習します。
ーー組み立て方や福祉用具の知識のインプットなど、事前準備の時間はしっかり持てるんですか?
阪本:最初は先輩に同行して、横で学ばせてもらうところから始まります。できそうなことから少しずつ任せてもらえるので、いきなり現場で1人きりになることはありません。入社して半年を過ぎた頃から、まずは点検だけ、組み立てのフォローだけを担当していました。先輩から「〇〇さんのお宅に行くから」と言われたとき、何を持っていくのかを確認して、その器具について事前に調べておく。それを繰り返すうちに、少しずつ1人でも対応できるようになっていきましたね。
ーー準備できる期間があるのは、安心ですね。
阪本:対応力は徐々についてきているのですが、最近は体力もつけようと思って筋トレにも励んでいます(笑)。

ーー月東さんは、後輩に仕事を任せるとき、リーダーとしてどんなことを意識していますか?
月東:同行しながら契約の説明の仕方や商品知識を教えるのですが、ただ伝えるだけでなく「今週はこれをやってみましょう」と具体的に課題を設け、そこに向けて取り組んでもらうようにしています。月毎の目標も立てて、月末にはその結果を所長と面談し、フィードバックをもらうなど、自身の成長を自分も周囲も確認しながら成長できる仕組みもあります。
ただ私1人だけではカバーしきれない部分もあるので、例えば阪本さんに組み立て方をレクチャーしてもらったり、一緒に積み下ろしを手伝ってもらったり。他の所員とも協力して、新人が成長できる環境を整えています。
営業って個々に利用者さんを抱えているので、どうしても個人プレーに走っちゃうところがあるんです。だから納品の際に重たいもの、大きいものがある場合は、担当関係なく「みんなでやりましょう!」っていう声がけをしたり。普段からみんなを巻き込んで、イレギュラーな時でもカバーしあえる体制をつくることを心がけています。

ーー阪本さん、頼りにされてるんですね。
月東:一番、細かいところまで気が利く後輩なんです。僕も入社した頃は説明書をめちゃくちゃ読み込むタイプでした。
ーー後輩から見て、月東さんは、どんなリーダーですか?
阪本:入社した頃から「気分で仕事をしない人」なんだなと思っていました。忙しかったり、疲れていたりすると、言葉がきつくなってしまう人もいると思うんですが、月東さんはそれがない。いつもきちんとスケジュールを組んでいて、時間がないときでも焦っている感じが相手に伝わらないんです。お客様に対しても、所員に対しても、姿勢が変わらない。だからこそ話しやすいし、困ったときも相談しやすい。こういうリーダーがいてくれるのは、本当に心強いですね。
「誰かの役に立てる」実感を持って
ーーこの仕事をしていてよかったと思うことはありますか?
月東:やっぱり、僕たちの仕事によって、利用者さんの「できなかったこと」が「できるようになった」ときですね。以前、病気で寝たきりだった利用者さんがいらっしゃって。ケアマネジャーさんと相談しながら、家の中に手すりをつけて、歩行器を使ってもらう提案をしました。その方もリハビリを本当によく頑張られていました。半年ほど経った頃にお宅を訪問したら、1人で玄関まで出迎えてくれたんです。あのときは、本当に嬉しかったですね。
福祉用具や住環境の工夫によって、ご家族の介護負担が軽くなり、心や時間に余裕ができたと聞くこともあります。実は僕自身、祖父母が「できないことが多い環境」の中で亡くなってしまったことが、ずっと心残りだったんです。だから、こうした場面に立ち会うことで、当時の自分の中にあった葛藤が、少しずつ消化されていくような感覚があります。

ーー自分の仕事が、誰かの役に立っていると実感できる瞬間ですね。阪本さんはいかがですか?
阪本:少し認知症が進んだ利用者さんに、「名前はわからんけど、あんたの顔は何となく覚えてるわ」って言われたことがあって。その中の一瞬でも、記憶に残れたんかなって思ったんです。自分がいたことで、よかったと思ってもらえているのかもしれない。そう思うと、また頑張ろうって思えますね。
ーー自分の仕事や振る舞いが、誰かの記憶に残るって素敵ですね。お二人の今後の目標を教えてください。
阪本:現状に満足せず、常に緊張感を持って対応できるようにしていきたいです。「大丈夫だろう」と思って説明を省いてしまわないように、油断しないこと。自分の仕事の向こうには、必ず利用者さんの暮らしがあるんだと意識しながら取り組みたいと思っています。
それと、福祉用具は次々に新しい商品が出てくるので、商品知識の勉強も怠らないようにしたいですね。利用者さんの住環境や症状は本当にさまざまで、対応に迷う場面もまだあります。自分の迷いは、そのまま利用者さんにも伝わってしまう。だからこそ、自信を持って提案できる相談員になれるよう、スキルアップしていきたいです。

月東:利用者さんの状況は多種多様ですが、オーダーメイドで福祉用具をつくって提供できるわけではありません。僕たちの仕事は既製品の中から、その方にとっての最適解を探していく仕事です。そのためにも、常に新しい情報をインプットし続けて、しっかり利用者さんに還元していきたいですね。
チームとしては、どうしても「これはあの人じゃないと分からない」といった属人性が出てしまう部分があります。今ある社内チャット以外にも、誰でも一定の対応ができるように、経験やアイデアを共有できる仕組みをつくって、会社全体で共有できたらいいなと思っています。そうした課題を一つずつクリアしながら、これまで以上にチームを意識して、互いに助け合える関係性を築いていきたい。一人ひとりの対応力があがることで、利用者さんのよりよい暮らしに繋がると思うんです。

月東(げっとう)祐哉 さん
株式会社ライフ・テクノサービス レンタル事業部
アシスティブプロダクツ課 鈴鹿営業所 リーダー
趣味は、写真撮影。休日には美しい景色を求めて、撮影旅行に出かけることも。

阪本貢立(みつはる) さん
株式会社ライフ・テクノサービス レンタル事業部
アシスティブプロダクツ課 鈴鹿営業所
趣味は、スポーツ。地域の小学生にスポーツを教える活動もしている。
株式会社ライフ・テクノサービスでは、新卒・中途ともに積極的に採用活動を行っています。
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totutotu編集長。三重県津市(山の方)出身のフリーライター。18歳で三重を飛び出し、名古屋で12年美容師として働く。さらに新しい可能性を探して関西へ移住。現在は京都と三重の二地域暮らし。様々な土地に住んだことで、昔は当たり前に感じていた三重の美しい自然豊かな景色をいとおしく感じるように。今の私にとってかけがえのない癒し。



