体力的にきつい、常に多忙で大変だ。「介護の仕事」と聞くと、そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、それは介護の仕事について、知らないことが多いからではないでしょうか。「pride」では、実際に現場で働く方々に話をお聞きし、介護の仕事について語っていただきます。介護の仕事に誇りを持ち、日々奮闘する中で育まれる利用者さんとの絆や、使命感。介護従事者たちの熱い想いをお伝えします。

今回ご紹介するのは、株式会社ライフ・テクノサービス(LTS)の鈴鹿営業所で営業(福祉用具専門相談員)として働く、新開梨央(しんかい りお)さん。主に行っているのは利用者さんにとって適切な福祉用具をおすすめし、届ける仕事。介護業界の営業職とはどんな仕事なのか、またその中で感じるやりがいをお聞きしました。

利用者に寄り添う「伝え方」を

実はもともと、福祉の仕事に特別興味を持っていたわけではないという新開さん。大学では英語を専攻し、就職先も金融機関や商社など幅広い範囲の中から、就職先を見つけようとしていたそう。

「実は、特にやりたい仕事はなかったんです。どうしようかと考えていた時に、大学の就職説明会でLTSの話を聞く機会がありました。それまで福祉系は選択肢になかったんですが、働きながら介護の知識を得ることは、将来的に家族や自分のためにもなると思ったんです」

学生時代に飲食店でのアルバイトで培ったコミュニケーション力を活かせるかもしれないと考えて、営業職を希望した新開さん。

「最初は事務を希望していたんですが、説明会の時に営業担当の方から『私たちは営業といえど、相手は高齢の方や、そのご家族なので福祉用具を無理やり購入していただくことはありません。その人、その人に合わせて、必要なものを必要な人に届ける仕事です』とお話しされていて。そのような営業スタイルなら、私にもできるかなと思えたんです」

朝8時30分から仕事が始まり、提携している介護施設や利用者さんがいるお宅に伺い、使用している用具の様子を確認したり、他に困りごとがないかをお聞きします。事務所に帰ると、必要な用具の発注や、見積書の作成、介護保険に必要な書類を揃えるなど事務処理を行います。また、市役所などへ行って介護保険などの申請手続きを行うことも仕事のうち。

「ご家族や本人さんの金銭的な負担を減らすためにもどんな制度が適応するかを調べてご本人や家族の了承を得て申請します。その際にスムーズに理解してくださる方もいるんですが、たまに間違った知識を持っている方もいます。ですので、誤解のないような表現であったり、大きい声で話すようにするなど、どんな方にもしっかりとご理解いただけるように気をつけています。また、耳が聞こえにくい人であったり、認知症が進んでいる方もいるので、ご家族も同席していただけるかなど、ケアマネジャーに利用者さんの状況を事前に細かくお聞きするようにしていますね」

中には介護が初めてでナーバスになっているご家族もいます。一人ひとりの目線に合わせて、対応することが大切なんですね。

「困ったり悩んだときは、1人で進めようとせず、先輩方にアドバイスをいただくようにしています。月曜日に朝礼があるので、そこで情報を共有したり、夕方には営業所に営業のメンバーが戻ってくるので、相談したり。福祉用具に関しても常に新しい知識を持っている勉強家の先輩もいるので、心強いです」

新開さんが働くLTS・鈴鹿営業所

1人ひとりに合った福祉用具を届ける

利用者へ届ける用具を車に積み込む

こうした福祉業界の営業ならではの大変さもありますが、その分やりがいも大きいとのこと。

「筋肉が拘縮(こうしゅく)していて右に傾いてしまうとか、長い間寝たきりで同じ場所に圧がかかり、床擦れがあるなどの身体の症状に合わせたものを提供できるように心掛けています。提案した器具などを用いる事で、少しでも日々の生活が楽になったり、症状が改善して喜んでいただけたら、嬉しいですね」

カタログをしっかりと読み込み、その人に合った提案ができるようにしているという新開さん。LTSでは介護保険や福祉用具に関する講習会などもあるのだそう。入社してから、福祉用具専門相談員・福祉住環境コーディネーターの資格も取得しました。

「例えばお家の中に手すりをつけたいとなった時に、トイレから何cm離れた所に手すりをつけたら楽に立てるのかなど、その人の体格や症状に合わせて設置することが重要なんです。実際に現場に立ち会って、どこに取り付けるかをマスキングテープで目印をつけ、発注をします。社内に工事を担当する部署があるので、依頼をして、工事にも立ち合います」

単に製品を発注して届けて終わりではなく、きちんとその製品が利用者さんの生活に活かされているかを確認するまでが仕事なのです。最近ではこんな心に残った出来事があったそう。

「もう4年も、家から出てないという男性の利用者さんがいたんです。認知症になって、骨も脆くなってしまって気力もないのか、ずっと寝たきりになってしまっていて。でも元気なときはご夫婦でよく旅行に行かれていたそうなんです。奥様からの要望で、車椅子を持っていったんですが初めは『乗りたくない、いやや』って拒否されてしまって」

それでも、新開さんや奥様の声がけもあり、何度か訪れるうちに利用者さんの気持ちが変わっていったそう。

「ベットから立つために、幅が広めの手すりを持っていって『まず立つ練習から始めましょう』とお声がけしました。リハビリの先生にも週2回来てもらうようになって、しばらくすると介助があれば立てるようになったんです。今度は玄関先にスロープをつけたんですが、リハビリを続けるうちに車椅子で外に出られるようになりました。だんだんとお顔が明るくなって、表情も楽しそうで。本当に良かったなと心から嬉しかったですね」

営業という立場から、利用者の日々を支える新開さん。「ありがとう」「よかったわ」そんな利用者さんからの言葉も、この仕事のやりがいのひとつ。介護の仕事に携わるからこそ感じられる、やりがいもあるのではないでしょうか。

新開梨央さん

株式会社ライフ・テクノサービス 鈴鹿営業所
レンタル事業部 アシスティブプロダクツ課

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