宮司になったのが平成17年頃やな。もともと、私は教員をしていて定年前に地元の中学校に戻ってきたんやわ。その時に地元のスポーツ少年団の団長をしていた人から声をかけてもらった事がきっかけで、宮司をする事になったかな。地元の為にもなるし、大学で資格も取っていたから頑張ってみようかなって気になったんやと思う(笑)。

でもな、当時は大変な事ばっかりで、そもそも祭式自体が正式な儀式に沿った形になっていなくて、礼儀作法も含めて中途半端やったんさな。うちは地元では大きな神社で、来てくれるお客さんにも失礼になるし。何とかせなかん思って、神職をしとる大学の友人に相談したんやわ。苦労もあったけどな、今では参拝者が全国からも来るほどになったね。御朱印巡りで来る人もいるよ。

「奇祭」五身懸祭(ごみかけまつり)

年に大きな祭りが3つあるんだけども、その中の1つに、毎年2月19日に近い日曜日に400年ぐらい歴史のある五身懸祭が開催されるのね。五身は5つの神様を意味してるんよ。おめでたい出で立ちの先導の元に2つの隊がそれぞれ地域を練り歩いて、先導はな、狩衣姿で両手に扇子を持って「まだら~く 万歳」って掛け声をしながら歩くんやわ。

私が宮司に就く数年前までは、「まだら~く 万歳」って言うのを先導者が恥ずかしがってね、冗談交じりで化粧をして出てたんやわ(笑)神事でもあって失礼にあたるから、今は止めてるけどね。

他にもいろいろ神事があるんやけど、弓射神事っていうて、栃原区と新田区から弓射当番者が選ばれるんやけど、的に矢を当てたらその年は豊作って言われてるんよね。弓を引くのは毎年当番制だけど、昔はな、当時のお偉いさんがやってたらしいんやわ。やけども時代の流れもあって、昭和終戦頃から当番制に切り替わったんかな。

五穀豊穣も込めた祭りやからね、麦わらで作った「ほで」に白い団子が365個、青のりが付いた青団子が365個、1つずつ1本の串になって刺さってあるんよ。おそらく団子にしたのは、農作物に例えてるんやと思う、白=お米、緑=野菜。珍しい行事ごとでもあって、「奇祭」って言われてるんやと思う。

これからの未来

伝統ある行事は時代が変わってもきちんと守っていかなかんね。地域の人だけじゃなく、県外の人も含めていろんな人に知ってもらいたいって気持ちはずっとあるね。情報社会だしネットで見て少しでも興味あったらね、それはそれで嬉しい。

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